スタッフ目線で語る篝火#6~8の舞台裏とDELTAが目指すもの
こんにちは、初めましての方は初めまして。有志で運営しているスマブラオフライン大会『篝火』『ウメブラ』のスタッフ、そして最近『DELTA』という大会の主催を始めた限界社会人ナナミと申します。
この記事では僕がスタッフとして篝火#6~8で何をやってきたのかを振り返ることで、新しくやりたいアイデアをどのように形にするかということや、表に出て来ないスタッフ業務はこんな感じという舞台裏をお伝えできればと思います。
※この記事はスマブラ Advent Calendar 2022に参加しています。前回の記事はこちら。
時系列的に『篝火#5』でスタッフになったという話の続編となるので、こちらもご覧いただけると幸いです。また、あくまで自分個人の振り返りとなるので、ここに書かれている内容は篝火スタッフの総意ではないことをご了承ください。
- 1.篝火#6 本格的なスタッフ参加とサブ配信企画の立ち上げ
- 2.篝火#7 本格的な運営準備マネジメントとサブ配信の完成
- 3.篝火#8 改めてコロナ禍に心を潰されそうになった時
- 4.主催としてDELTAの目指すもの
- 終わりに
1.篝火#6 本格的なスタッフ参加とサブ配信企画の立ち上げ
『篝火』の配信は元々EGSとVGBCの2つの配信台がありますが、#6においてDay2に限り3台目の配信台を設置するという試みを実施しました。
そもそもサブ配信をやりたかった理由
篝火の会場では配信台外の試合をTwitterでライブ配信する人たち、通称『戦場カメラマン』によるライブ配信が行われています。自分も初めて参加した『篝火#4』でライブ配信をやっていたのですが、その辺りから戦場カメラマンという俗称が浸透していった印象です。
篝火の会場にて有志の方が配信台に案内できなかった試合をペリスコープにて配信して下さっていました。
— 篝火(かがりび) (@KAGARIBI_smash) 2021年6月28日
こちらはその配信ツイートをまとめたものです
限界社会人さん、ルナマドさん、TKMさん、ほげめーるさん、Lyさん
ありがとうございました!https://t.co/h3CwsJky4o
当然ですがトーナメント進行の都合上、配信で拾いきれない対戦カードがいくつもあることが戦場カメラマンという取り組みにつながっています。対戦カードにはよりますが、数千~万単位の視聴者を集めることもザラです。
ザクレイvsりぜあす#篝火スマブラ https://t.co/BM5SL5IRSk
— TKR (@sumaburaSP0) 2022年1月9日
それだけ注目カードがある現状、運営側でもう1つ配信台を増やせないかというのは自然に生まれてくる考えでした。(これは第4回で自分が戦場カメラマンをやっていた経験からも来ているのかなと思います)
前回の記事で『やってみたい取り組みがある』と書いた内容がこれです。
この記事を書いている時には提案は出しているとは思いますが、1つやってみたい取り組みがあるので粛々と検討と準備を進めていこうと思います。前回よりも篝火に貢献できたら良いなと思う次第です。
Q.篝火で何か新しいことやりたい場合はどうするの?
A.「やりたい」と言えェ!!!!!
ホントにこんな感じです。
篝火のシーディングに意見のある方、篝火の運営に協力してみませんか?
— ぬくぬく (@Esounanda) 2022年1月5日
篝火はコミュニティと地続きになっている大会なので有志の運営協力を受け入れています。
「篝火でこれをやりたい」みたいな申し出も割と通ったりします。
反面、「篝火でこれをやってくれ」みたいな申し出はあんまり通らなかったりします。
— ぬくぬく (@Esounanda) 2022年1月5日
篝火は大会のコンセプトを踏まえたスタッフ各々がやりたい事をやって成り立っているので「あなたがやりたいなら歓迎します」みたいな回答が帰ってきます。
やりたい事を好き勝手やらせていただきました。ありがたい話です。
コンセプトと構想
とはいえ要望を出したからには具体性のある計画に落とし込まなければいけません。サブ配信実施にあたって考えたコンセプトは以下の2つ。
- 篝火スタッフのリソースを割かないように配信のオペレーションは自分1人で行う
- 配信する対戦カードはウィナーズとルーザーズを問わない
1つ目のコンセプトの理由は、自分の好き勝手でやらせてもらっている企画なので人を回してもらうのも忍びないと思っていたのと、単純に当日人員の余裕がそこまでないと踏んでいたことが理由です。
もちろんこのタスクは1人だけで出来る類のものではなく、配信担当や進行担当の協力を得て進める必要があるので厳密な意味でのワンオペ実施というのは不可能です。とはいえ当日の作業に関しては自分1人でやると決めていたので、必然的に以下のような構想が出来ました。
- 個別に配信台として設けるのではなく、既存の対戦台に機材を設置して配信する
- 本配信のように実況はつけず、ゲーム画面と選手カメラ画面のみで配信する
要は対戦台の1個をそのまま配信に使うことで、余計な手間を作らないようにするという考え方です。対戦台の隅の方に配信機材を置かせてもらう以外は通常の対戦台と同じ設備となっています。
2つ目のコンセプトにも関連しますが、普通の対戦台として扱うためウィナーズ中心の本配信とは違って始めからウィナーズとルーザーズの区別なく対戦カードを回してもらいました。結果としては最初から最後までルーザーズの対戦カードを配信しています。
機材の紹介
基本的にほとんど自前の機材です。元から使っているものを流用すれば金もかからないだろうと思っていたのですが「篝火で使うなら…いっそ買っちゃおっかな〜」精神で購入してしまったものもあります。元から自分が欲しかったものを買う動機が増えただけであって無理して購入したわけではないです。念のため。。。
Macbook Air(M1)
Elgado HD60S+
α7Ⅳ
他にはケーブルとか三脚とかちょっとした備品。
流石に持って無くて借りたもの。HDMI分配器はいっそ買っちゃおうテンションで後ほど自分で購入。
プロジェクター
HDMI分配器
EGSのTwitchチャンネル
チャンネルはともかく、モノは最小限でやれていると思います。とはいえ毎回持ってくるの大変なんですけどね。
2.篝火#7 本格的な運営準備マネジメントとサブ配信の完成
#6と#7の間にIGNITE#1があったのですが、流石に書ききれないので省略しています。ただ、IGNITE終了後にTOのてんぷらさんにあることを頼まれました。
「事前準備の通話会議とかの取りまとめをげんしゃかさんにお願いしたいです」
PMに疲れて転職したのにPMみたいなことを頼まれたってばよ
実はこの時期転職していたのですが、元の仕事でPM(プロジェクトマネージャー)をやっていました。同じようなことを趣味の世界でやることになった訳です。ちなみにPMみたいなことをやりたくなくなって転職してます。
今まで大体てんぷらさんがやっていた記憶があるのでそれを引き継いだ形になります。更に言うと...これは勝手に拡大解釈的にやり始めたので、てんぷらさんの意図とは違ってきているかもしれないのですが、回を重ねる毎に全体的な事前準備関連の取りまとめ(いわゆるマネジメント)に携わるようになっていきます。
この時の事前準備というのは主に、
- トーナメント人数や進め方の検討
- 募集日程決め
- Start.ggの作成、設定
- その他進めている企画や作業のスケジュールを確認
くらいだったかと思います。この他に会場の確保やシーディングなどありますが、そこは流石にやっていないです。上記に挙げたものでも実際の作業は他の人に任せていたりします。
それ以降や現在やっていることも込みだと、
- 会場の下見
- 会場図作成
- 大会ルールの設定
- Twitter運用
- タイムスケジュール作成
- スタッフの人員配置
- インターネット回線工事の手配
などなど。これらは#8だったりIGNITE#2、そして来る篝火#9の準備でやっていることですね。一回に全てやっている訳ではなくて、少しずつやることを変えて関わっています。(この頃からボンヤリと自分が大会を主催する想定で経験を積んでおこうという意識があったので色々やっておきたかった)
全てを問題なくコントロール出来ているわけでもないし、上手くいかなかったことはいくらでもあるし、「それやっとけば良かった~!」みたいなことも毎回出てきます。特に参加者側に不便をかけるようなことがあると非常に申し訳なくなります。毎度すみません。
1つの完成形を迎えたサブ配信
この辺りから僕個人の篝火の関わり方が『事前準備を頑張るから当日に好きにさせてくれや』方式になっていきます。この時は受付とか雑務を手伝いながら、2日目にサブ配信をやるような感じだった記憶です。
ギャラリー密集による動線塞ぎの解消
IGNITEでも実はサブ配信をやっていたのですが、対戦カードの後ろに人が集まりすぎて動線が塞がれるという問題点が生じました。本配信の方は観客席があるので起こらない問題ですね。
であれば作ろう観客席、ということで会場から大きなボードを借りて試合映像を投影することにしました。そしてそれを見れる位置に椅子を並べることで「見る場所ここです」というアピールをしました。一見分かりづらい配置だったので、それでも後ろに人が集まることはあったのですが効果はかなりあったと思います。後ろから覗くより見やすいですからね単純に。
BraceBracketの導入によるスコアボードの進化
スマブラ等のゲーム用スコアボード表示ツール、BraceBracketのベータ版を公開しました。Googleスプレッドシートでスコアを編集できるため、常に配信席に人が居られない大会や鯖内大会、窓対抗戦などの小規模の配信で使えると思います。https://t.co/IuJdVG9Vgv
— Masaki Ando (@wolphtype) 2022年4月11日
リプライに解説動画もあります。何卒! pic.twitter.com/VTIH0kIxgq
現在色々な大会で使われているBraceBracket、そのベータ版を使用しました。当時はGithubから一式DLして、jsonを編集しながらスコアの更新をやっていましたね。流石に今のBraceBracketが最強すぎて結構大変だなと思うかもしれませんが、比較対象がおかしいだけで神のスコアツールでした。特にMacでも使える点。
これを配信できて良かったと思えた、がくとKENの対戦カード
これはあまり多くを語るのも微妙なのでさらっと。(がくとさんに肩入れしまくりの内容なのでKENさんには申し訳ない...)
僕がオフ界隈に関わるきっかけは昨年のスマブラAdventCalendar記事で書きましたが、がくと配信で取り上げられたからです。勝手ながら大会での活躍を、それも大型大会では勝ったことなかったと言っていたKENさん相手の勝利を配信で届けられたのは、サブ配信やり始めて良かったなと心の底から思いました。
篝火#7感想①
— 限界社会人ナナミ🌘 (@takatou0711) 2022年5月6日
2日目にやったサブ配信
今までKENさんに勝てていなかったがくとさんが、勝ってポップオフを決める瞬間を配信出来て本当に良かった…
元々サブ配信を発案したのは、こういう瞬間を届けたかったからだったなと
サポートしてくれた皆さんに感謝です#篝火スマブラ https://t.co/q7HPrq5UY8 pic.twitter.com/z02jTgfziz
3.篝火#8 改めてコロナ禍に心を潰されそうになった時
僕の中では最高の体験だった#7から一転、不安しかない状態で臨んだのが篝火#8でした。理由は語るまでもない新型コロナウイルス第7波。開催にあたってスタッフが何となくまとまりきっていない感じはありましたし、相次ぐ選手やスタッフの参加キャンセルでモチベーションもかなり削られていました。
しかし...終わった時に思ったのは「やって良かった」という安堵にも似た気持ちでした。本当に面白くて素晴らしい大会だったと思います。
やると決まったからにはちゃんとやろうと踏みとどまって本当に良かったです。今回やってきたことは何一つ無駄ではなかったと思います。
久しぶりに本腰を入れた写真撮影
初日諸々指示出しをしてトナメ進行が始まった後、2日目のサブ配信終了後は写真撮影をしていました。『事前準備を頑張るから当日に好きにさせてくれや』方式が完全に確立した瞬間です。
これはもう写真見てください!としか言いようが無いのですが、特筆すべきは全写真を単焦点レンズで撮ったことでしょうか。ハマった時の解像度とボケ感が抜群でした。1番のお気に入り写真がこちら。
今回で一区切りとした限界社会人式サブ配信
これも特に新しく言うことはないのでアーカイブ見て欲しいです!#7で完成形を迎えたという意味も分かっていただけるような気もします。
ただ#7から後ろの観客席の作り方を変えているので、現地観客目線ではサブ配信をやっていること、配信目線では選手の後ろにギャラリーが集まると様子が分かりやすくなりました。
https://www.twitch.tv/videos/1561724992?filter=highlights&sort=time
ちなみに...#7から感じていたのですが、自分のやるサブ配信は一定の役割を果たしたのでもう良いかな...くらいに思っています。IGNITE#2では『縁』がサブ配信やるということだったので、良いタイミングだと思って何もやらずにいました。
でも最近篝火#9どうしようかなと思ってたり...。これまでサブ配信って実況とかは何も入れずにやっていたのですが...実況あり見たいとかだったら今固まっているやり方もアップデート出来るのでモチベあるな~みたいな...。
4.主催としてDELTAの目指すもの
これまで篝火スタッフ1本でやってきましたが、#8の終わりと同時に新たな大会の立ち上げを目指して動き始めました。それが12月18日に開催した『DELTA』です。
この大会のコンセプトは自分ではなくDELTAのアカウントでnoteを書いて発信しているので、そちらをお読みいただけると幸いです。
数学や物理の世界ではデルタは「差分」や「変化量」を意味します。
篝火の活動でも僕は常に何か新しいことをやらせてもらってきたのですが、ここを飛び出して挑戦したいことが出来たので新しく大会を作りました。挑戦とかDELTAのコンセプトは試せる場とか、いかにもなことを言っていますが、本質は僕がただずっと同じことを続けていると飽きる性分だから毎回何かちょっと変わったことをやりたいだけなんですよね...。
昨今SWTとか色々あったじゃないですか。改めて、
その大会って何のためにやってるの?(≒あなたが大会をやっているモチベーションは何?)
選手目線でその大会に出る理由って何?(≒選手が参加したいと思う、選手ファーストで考えられた大会か?)
...ということを考えなくてはいけないタイミングになってきたように思います。
DELTAはその「?」に真正面から向き合って運営していければなと思っています。
終わりに
スマブラ Advent Calendar 2022、明日はふぁーむさんが投稿されるので是非チェックをお願いします!
最後に、DELTAのデザイナーであるマヲさん制作のDELTA#1の振り返りムービーを紹介して終わりにしたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました!